皆さんご存知の通り”sisi”のバッグは布で出来ています。

1999年に私が単独でバリ島・ウブドに引っ越してきて いろいろ悩んだ挙げ句2000年に立ち上げた”sisi”。
最初は布がどこで買えるのか、そしてそもそも誰が作る(縫う)のか?全て何も知らないまま試行錯誤の七転八倒!

一時は週に3日はウブドからバイクを走らせ通っていたここデンパサール(往復40km程)の一画。この15年間で私が欲しい布を持っている、信頼して仕事を頼める、用事が無くても「ちょっと顔を見に立ち寄ろうかな」と思うお店が幾つも出来ました。

私がバリ島でウブド以外のもうひとつの「ホーム」を感じれるのはここなのです。
自宅からこれだけ離れているところで何故そんなにここをそのように感じるのか。

ここ「デンパサール」はバリ島の州都(バリ島はインドネシアの一州です)である為に官庁や卸のお店が多い一方、これと言った有名な「観光地」が無いために外国人のお客さんは本当に少ない。

昔ここはやはりオランダの植民地だったのだな、と感じる洋風の建物が多いのが特徴。他のエリアでは見ない「ドッカル」と呼ばれる馬車が観光用ではなく、今も庶民の足として使われているのも面白いです。

こちらに数百メートル道を挟んで両方に延々と布の問屋さんが並ぶここスラヴェシ通り(と近辺)。
ここに行き着いた時は圧倒的な色と量の洪水に流されてしまいそうでした!

この何十軒もお店がある中で、私が普段立ち寄る店はほぼ決まっています。たまに時間に余裕がある場合はいつも顔を出さないお店も時間をかけて覗いてみるようにはしていますが。

その中で生地に、そしてボスやスタッフの人柄に惹かれて(やはりスタッフが気が良い場合はボスがやっぱりちゃんとしてる場合が圧倒的に多いですね。それも勉強になります)ついつい足が向いてしまうお店を2軒ご紹介します。

ここでご紹介し切れないのですが、たっぷりsisiがお世話になっているお店も。
是非直接歩いてあなたのお気に入りのお店も見つけて下さい!

では一軒目は”toko ADIL
写真では左側のお父さんがボーッとしているように見えますが 私はこの通り一番の「商売人らしい商売人」は彼では?と思っています。

いつも陽気にそして積極的にどんどんお客さんに声かけし、そしてお客さんの背景もよく知っている!
そんな状況も最初は努力でそうし、そして作り上げたおじさんの「その世界」を存分に楽しみ、だからこそもっともっととなっていったように思います。それはつい数ヶ月前まで居た、そして亡くなったおじいちゃんの存在。私がここに来始めた15年程前には 壁際に置かれた古い立派(昔はきっと)な椅子に腰掛けてお店とお客さんと息子(左側のおじさん)の軽快なお客さんとのおしゃべりやスタッフの動きを眺めていたおじいちゃん。挨拶しても聞いているのか聞いていないのか分からないけれど、じっと私を見返して「知ってる」というような表情に。そんなおじいちゃんと入れ替わるようにお店に立ち始めた眼鏡息子くん。最初は「スラヴェシののび太くん」と私が勝手に名付けて彼の得意な日本語で話していたのだけれど、お父さんに指示されていたり教えられていたりする(同時にそれはおじさんがオモシロおかしく話する以外の姿を見せる少ない機会でもあるのだけれど)姿を見て、そして段々のび太くんの顔が「商売人の顔」に変わって来て。

今では古い立派な椅子にお父さんがゆったりと腰掛けのび太くんが積極的にお客さんに声をかけている姿を見かけます。
最初はお父さんとのび太くん雰囲気違うな、と思っていたのに まるで目の錯覚?おじいちゃんとお父さんは昔きっとこうだったんだ、と。同じように繰り返されている「だけ」かもしれない この歴史に心を打たれました。こうして引き継がれ、受け継いで時が流れて、”ADIL”はあり続けるんだな、と。私の持っているバトンも子どもたちにこういう風に素敵に渡せたら良いなと思わせてくれた素敵なお店です。

あ、品揃えは「バティック」(ロウケツ染め)です。安いバティック風プリントから、全て手描きのそこそこ高価なものまでいろいろ揃っています。たくさんお土産用に安い物をまとめて買うのには種類も多く一番良いのでは無いでしょうか?お父さんやのび太くんとのおしゃべりを楽しみながらお好きな物を選んで下さい!

続きましては”toko MAJU

ここは元々プリントのお店で昔sisiで作っていた人気の「金魚柄」はこのお店でお願いしていました。

スクリーン(柄をプリントする為のもの)を盗まれた!」「工場が燃えたー」などと途中一体どうなる事かと思った”MAJU”でしたがモダン柄バティックのお店に変わったのはいつ頃だったでしょうか? モダン柄とはうちでもキッズパンツなどによく使っている「ヤモリ柄」や「水玉」などの伝統的なバティック(ロウケツ染め)ではない柄を鮮やかに染めているものを私が勝手にそう呼んでいます。

今ではスラヴェシ通り、そしてその近辺にある数軒のモダン柄バティックを扱うお店の中では断トツに沢山のお客さまが!
背の高い若いボスはうちの娘と同じ年の息子さんが居て、しょっちゅう子どもたちの話になります。

体重何キロになった?ちょっと痩せさせた方が良い、と医者に言われたんだけど、ナオミの所はどう?
うちも重めだからねぇ、何キロ?え?50kg越えてる???3年生よね!?」なんて。

オーダーを間違えたり遅れたりする言い訳をいろいろする人が多い中(絶対そんな理由違うやろ〜、人のせいにしたなー、天気のせいにしたな〜。お天気のせいで紺が緑にはならんやろ〜!!! などなど)私がお友達のオーダーを催促に行ったらスタッフもお客さんも居るところで大きな声で「あ!忘れてたーーー!」と言ったのがおかしくて二人で大爆笑した事がありました。 いや、もちろん「忘れてた」ことが良い事では決して無いのですが、「見られて聞かれて困る」ことを皆の前でそれもはっきり言うこの人はきっと悪い事は出来ないんだろうな、と。 ま、その後も「あ、忘れてた!」が何度かあるので、私と同じく「とにかく催促する」ことが大事になってくるんですが。

若いがとにかく「ボスらしいボス」で、スタッフがしっかりついていっている。
現場の事もよく把握して上手いバリ語で冗談を交えてスタッフと楽しく仕事をしている。
冗談を飛ばし合うような近しい関係ながら、スタッフは尊敬と緊張感を持って彼に接している空気があります。

これまた勉強になるお店です。あ、「忘れんぼう」というところにも親しみを感じているのかもしれませんが。

ちなみにこの問屋街、多くのボスがアラブ系インドネシア人。
たまに中華系やインド系が居ますがそうなんです。
イスラム教徒が多いので金曜日のお昼近くになるとお店によってはお祈りの為に一時お店を閉める、もしくはお昼で終ってしまうところがありますのでご注意下さい。

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